ここでいうプロフィールというのは、いわゆる自己紹介文のことをいいます。意外とこうしたプロフィールを書く機会は少なくありません。でもいざ書くとなるとおっくうなものです。ところが他の人のプロフィールには興味津々になりませんか。
ブログやSNSのプロフィールページは一番見られる人気のページと言われています。「どこのどういう人なの?」というのは誰もがはじめに気にする点だからです。まったく知らない人を知るきっかけになる重要なところなんですね。
プロフィールは場に合わせてうまく書き分けるのが一般的です。たとえば友だちづきあいが目的のSNSではカジュアルな感じで共有できそうな趣味嗜好なんかを紹介する一方、就活ではこれまで携わってきた社会活動や専門知識をアピールする必要があるかもしれません。
字数が限られたSNSでは「人はあなたの人となりに興味はありません。あなたが自分にもたらしてくれるメリットを知りたがっているのだ」というようなことが書かれているのを見て、何だかがっかりしてひいた覚えがあります。
逆に苦労話や失敗談といった物語で興味をひくテクニックもあるようです。人は苦労や失敗を乗り越えたサクセスストーリーが大好きだからです。
確かにプロフィールはどういう相手に伝えるかによって、伝えるべき必要な情報が違うことはあります。言葉遣いや書き方の形式も異なります。でも、自分のことを相手に伝えることに変わりないことを忘れてはいけないと思います。
表面的なテクニックを下手になぞると、かえってどこかで見たことがある、ありがちで無個性なプロフィールになって、せっかくの自分らしさが伝わらないどころか胡散臭くなってしまって笑えません。
どう書くかを考える前に、日ごろから自分についてのたな卸しをコツコツしておきたいところです。
プロフィールもふつうの作文と変わりません。個性は具体的なエピソードにあらわれます。
部活やボランティア活動をしたとか、資格をとった、有名大学を卒業したとかんたんに書くだけで済む場合も少なくありません。実際に具体的なエピソードを書くほどのスペースはないかもしれません。それでもそれぞれの経験や実績にまつわる具体的なエピソードの有無が今後自身を伝える場で大きな差をつけることになります。
エピソードは一つあればじゅうぶんで、いくらでも語れる人はかなり有望です。多様なテーマで視点を変えて書くことができるエピソードは強みになります。
こうしたエピソードは、過去を振り返り思考する習慣がなければなかなかその場では思いつきません。
華々しい経歴もなければ涙ぐましい苦労も知らない平凡な人には個性的なプロフィールは書けないと思いがちですが、そんなことはありません。作文教室でたくさんの方の作文を読んできましたが、誰一人として個性のない人などいないとつくづく思うからです。
身のまわりの人をよく見てください。それぞれみんなそれなりに癖があって個性的だと思いませんか? どこにでもいるふつうの人なんて人はどこにもいません。いたら珍しいからやっぱり個性的なはずです。
きっと誰にでもおもしろかったことやがんばったこと、うれしかったこと、くやしかったことがありますよね。そんなできごとの中、自分のふるまいや周囲のようすを思い出し、いろいろ考えてください。せっかくですからそうして思い出したことや考えたことを忘れないうちに作文してみてください。
思いがけない自分の癖に気づくかもしれません。
それが読書作文教室@みのりで行っているエピソード積立です。きっと自分らしい素敵なプロフィールができます。
エピソードを積み立てる