文章で書かれたイメージを認識する読解力は、かなり高度な能力です。
『AIvs.教科書が読めない子どもたち』に掲載のリーディングスキルテストで行われている「イメージ同定」という分野のテストでは、文章に一致する図形やグラフを選ぶのだけれど、これがなかなか難しい。
読解力は総合力
じつはわたしも景色、道筋、建物の部屋の配置などを説明した文章、残念ながら読んですぐイメージできません。
これは必ずしも語彙力の問題だけではなさそうなんですよね。
自分が実際に見た景色、歩いた道順、知っている建物の部屋の配置を言葉で説明することはそれなりにできそうなんですが、自分のことを考えると、読んだ人にその説明が正しく伝わっているかどうかはまったく自信がない。
どんなにわかりやすく、じょうずな文章でも、読者に読解力がなければ伝わりません。
でも、読んだ文章の内容をイメージするには、経験や知識、想像など、持ってる能力を総動員しないとできませんよね。
読解力を養うってことは、このように持っている能力をすべて鍛えることなんです。
読解力は生活感に育まれる
だから読解力は、読書以外のことでも伸びる可能性がある。
まだ字が読めない小さな子どもは、からだをつかって楽しく遊ぶだけでいいなんて言います。もちろん読み聞かせや暗唱なんかも楽しんでやれば、言葉の意味なんかわかってなくてもいいらしいですよ。
すべて体験として積み重なっていくんですね。
読むのが苦手な人もあきらめちゃいけません。いい加減に多読するより、わからない文章をゆっくり丁寧に読む難読に取り組んだほうが読解力がつくと言われてますし、オーディオブックで聞くというのもよさそうです。
読書から離れて、趣味や家事に励むこともきっとどこかで読解力とつながってます。
読解力は生活感に育まれるんだと思います。
毎日懸命に暮らしているだけで、かつてはある程度読解力が身についていたのかもしれません。ところがどうやら現代は、読解力をだんだん低下させる生活に変化してきてるようです。
だからといって、昔の生活に戻ることもできません。
人間はÅIと違って、計算だけで生活できるようにはできていません。
もっとめんどくさくて複雑なものを抱えながら喜怒哀楽し、変化し続ける存在です。
その一つ一つの生活感が読解力を培っていたんですね。
効率は機械にまかせて、人間はもっとめんどくさく生きていけばいいのかもしれません。