マークシート式の試験は、正確な知識をたくさん覚えさえすれば評価されるものでした。
ところが、2020年から始まる大学入学共通テストは、記述式が加わり、思考力や表現力も問われるものになるそうです。
社会状況の変化に対応できる能力を身につけるためです。
これまで覚える勉強に終始してきたビジネスパーソンは、振り返って自身の実力を知り、対処する必要がありそうです。
佐藤優氏の『国語ゼミ』より、対処したい3つの弱点をまとめてみました。
「読む力」を磨く。
計算能力では人間を凌駕するAIを使いこなしていくためには、人間は、意味理解の力、すなわち「読む力」をこそ涵養(かんよう)していかなかればなりません。ところが現時点では、教科書を「読む力」さえ欠如している中高生が多い。おそらくその傾向は、現代の平均的なビジネスパーソンにも当てはまるでしょう。
「読む力」の養成は、AI時代においては世代を問わず喫緊の課題と考えなければならない。
佐藤氏は、「読む力」をつけるためには、まず教科書を正確に読むことをすすめています。しかも音読です。
おとなになると、なかなか音読する機会はありません。
文筆家の中には書いた文を音読して推敲する人もいるほど音読というのは大したもののようです。
音読すると、読み飛ばしすることができません。
漢字やことばの意味を調べながら正確に音読した次は、要約と敷衍(ふえん)を行います。
要約は要点をまとめることで、敷衍は自分なりにわかりやすく書き直すこと。
この「読む力」がすべての基本。
考察力を養う。
知識を使って思考する基盤づくりの方法に
- 比較する
- 疑問をもつ
があります。
比較するときに注意したいのは、相違点だけでなく共通点を指摘するのを忘れないこと。
たえず問題意識を持つというと難しいけれど、そのまますぐに受け入れないで、「なぜ?」「どうして?」といった自分なりの問いを見つけることが大事。
アナロジーの思考力を養う。
アナロジーとは類推のこと。
広辞苑によると、
類似点に基づき、他のことを推しはかること。二つの特殊的事例が本質的な点において一致することから、他の属性に関しても類似が存在すると推論すること。似たところをもととして、他のことも同じだろうと考えること。
現代と違う時代のことや、異国の話など、直接関わりのないことでも、今の時代に当てはめてみたり、自分の身近なことに引き寄せて考える力のこと。
作文でも「もしわたしが~だったら」という文を入れて書く練習をするんですが、これも類推の練習ですね。
類推の思考から想像力や共感力が育ちます。
この土台にあるのが「読む力」です。
今一度、振り返って強化したいところです。
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